今後を占う資料として
リバT『ウィザード・ブックス版のFFゲームブックの発刊リストを作ってみようと、グラマスNOVAが思い立ちました』
ダイアンナ「ええと、FFゲームブックは、旧世紀のパフィンブックスと、21世紀の最初の10年ほどのウィザード・ブックスと、2017年以降のスカラスティック社の3シリーズがあるんだね」
リバT『ウィザード・ブックス版のカバー絵はこちらになります』
アスト「元のパフィン版の表紙絵が使えないコレクションの『火吹山』絡みは基本的にこちらを採用。『さまよえる宇宙船』と『狼男の雄叫び』もこちらを採用したおかげで、今回はウィザード・ブックス色が非常に高いコレクションになったわけだ」
リバT『基本は、パフィン版のイラストを中心に、スカラスティック版のラインナップに合わせて展開してきたFFコレクションですが、今回はスカラスティック縛りから脱却して、ウィザード・ブックス初出の「狼男の雄叫び」を初収録したこともあって、今後の出版の可能性が一気に広がった形になります』
ダイアンナ「ええと、33巻までが社会思想社の邦訳版があって、その後、95年の59巻『ミイラの呪い』(ジョナサン・グリーン)までがパフィンブックス。60巻の『龍の目』(リビングストン、2005)から65巻の『ゾンビの血』(リビングストン、2012)までがウィザード・ブックス。66巻以降がスカラスティック社ってことだね」
リバT『シリーズ累計だとそうなりますが、今回は復刻作品も含めたウィザード版のリストです。パフィン版から何が復刻されて、何が未復刻なのかをチェックできると、今後の記事書きの参考にもなるかと思い、こちらの記事と合わせて使えるかな、と』
ウィザードブックス版の第1期リスト
- 火吹山の魔法使い(SJ&IL、1巻、2002年)
- バルサスの要塞(SJ、2巻、2002年)
- 死の罠の地下迷宮(IL、6巻、2002年)
- モンスター誕生(SJ、24巻、2002年)
- 盗賊都市(IL、5巻、2002年)
- 甦る妖術使い(IL、26巻、2002年、FFコレクション未収録)
- 地獄の館(SJ、10巻、2002年)
- 運命の森(IL、3巻、2003年)
- シャムタンティ丘陵(SJ、ソーサリー1巻、2003年)
- 雪の魔女の洞窟(IL、9巻、2003年)
- 罠の都カーレ(SJ、ソーサリー2巻、2003年)
- 迷宮探検競技(IL、21巻、2003年、FFコレクション未収録)
- 七匹の大蛇(SJ、ソーサリー3巻、2003年)
- 死の軍団(IL、36巻、2003年、未訳)
- 王の冠(SJ、ソーサリー4巻、2003年)
- 火吹山の魔法使いふたたび(IL、50巻、2003年)
- トカゲ王の島(IL、7巻、2003年)
- サイボーグを倒せ(SJ、17巻、2004年)
- 恐怖の神殿(IL、14巻、2004年)
- ザゴールの伝説(IL&キース・マーティン、54巻、2004年)
- 龍の目(IL、60巻、2005年、新作、未訳)
- さまよえる宇宙船(SJ、4巻、2005年)
- フリーウェイの戦士(IL、13巻、2005年、FFコレクション未収録)
- 死神の首飾り(Jトムソン&Mスミス、11巻、2006年、FFコレクション未収録)
- サムライの剣(JT&MS、20巻、2006年、FFコレクション未収録)
- ブラッドボーンズ(ジョナサン・グリーン、61巻、2006年、新作、未訳)
- ミイラの呪い(JG、59巻、2007年、未訳)
- スペルブレイカー(JG、53巻、2007年、未訳)
- 狼男の雄叫び(JG、62巻、2007年、新作)
リバT『紫字がウィザード・ブックスの新作で、赤字は旧作の復刻でもFFコレクションに未収録の作品です。このたびFFコレクション5に収録された「狼男の雄叫び」を除けば、今後のコレクション復刻候補となるでしょう』
アスト「29巻も出たのか。FFコレクション6が出ると、この壁を越えるって話だな」
リバT『まずは、ウィザード・ブックス1期の壁を越えて、次いで社会思想社の33巻の壁を越えると、昔からのファンの人たちは非常に感じ入るでしょうね』
ウィザード・ブックス版の第2期リスト
リバT『続いて、2009年から始まる第2期です。同じタイトルの再版は出版年のみの略式表記で』
- 火吹山の魔法使い(2009年)
- バルサスの要塞(2009年)
- 死の罠の地下迷宮(2009年)
- ストームスレイヤー(JG、63巻、2009年、新作、未訳)
- モンスター誕生(2010年)
- 盗賊都市(2010年)
- ブラッドボーンズ(2010年)
- 死霊術師の夜(JG、64巻、2010年、新作、未訳)
- 地獄の館(2010年)
- 龍の目(2010年)
- 狼男の雄叫び(2010年)
- 迷宮探検競技(2010年)
- 運命の森(2011年)
- ミイラの呪い(2011年)
- 死の軍団(2011年)
- サイボーグを倒せ(2011年)
- ゾンビの血(IL、65巻、2012年、新作、未訳)
リバT『1期めは29冊で、2期めは17冊。合計すると46冊とのことですが、再版分を抜きにして考えると、実質的には32冊ってところです。こう見ると、1期めに比べて、2期めは新刊の3冊を除けば、光るものがあまりないというか、1期めで弾を打ち尽くしたような感じです。一応、1期めの終わりにFF25周年を祝って、2期めの終わりに30周年を祝った後は、5年間の眠りに就いたような流れか、と』
アスト「35周年の2017年にスカラスティック社にバトンを受け渡して、そこからの40周年祭りとその余韻が続いているのが今ってところだな」
ダイアンナ「次のアニバーサリーは2027年になるのかね?」
アスト「その時には45周年でFFコレクションも7集まで出ているといいんだが、その頃にはここで赤字になってるリビングストン本もいろいろ出ているだろうさ」
リバT『メインがもしも、「ブラッド島の地下迷宮」だったとしたら、「死の罠の地下迷宮」の関連本の「迷宮探検競技」および「死の軍団」も同時に来るかもしれませんね』
アスト「そこに『死の門』と米ジャクソンの『深海の悪魔』を加えると体裁が整うかもしれないな。その場合、3作が初邦訳になるし、FFコレクション6弾として悪くない。まあ、『仮面の破壊者』がまた先送りになるだろうが」
リバT『ともあれ、今回、ウィザード・ブックス版の復刻リストを改めて仕上げて思ったのは、2005年から2007年と、2009、2010、2012年とほぼ毎年のように新作ゲームブックがコツコツ発売される時期は至福の祭りだし、逆に英ジャクソンとリビングストンの復刻だけではウィザードの第1期でほぼネタ切れになってしまうということですね』
アスト「そこに存在感を見せつけたジョナサン・グリーンの貢献も大きいが、パフィン版のその他の作家の復刻にまで至れなかったのが、ウィザード・ブックス版の限界だったのかもしれないな。一応、『死神の首飾り』『サムライの剣』のジェイミー・トムソン&マーク・スミスまではフォローしてくれたようだが、米ジャクソンやアンドリュー・チャップマン、ロビン・ウォーターフィールドまでは手が伸びなかった」
リバT『だからこそ、今回、ウィザード・ブックスもできなかった米ジャクソンの参加が大きいわけですね。ウォーターフィールドさんとも以前に「恐怖の幻影」で交渉中という情報が出て来ましたし、英ジャクソンやリビングストンさんだけの縛りを越えて、他の諸作家の復刻があれこれ行われると、それは本当に快挙って言えましょう』
アスト「やはり、この段階で朗報なのは、米ジャクソンが5年で50作のFFゲームブックをアメリカで50冊出すと発表したことだ。日本のFFコレクションが5年で25作ということだから、だったらその流れに応じて、5年後に50作に並ぶという目算でもあるのかな」
ダイアンナ「今回の米ジャクソン参加は、日本のFFコレクションの影響も大きいってことかね」
アスト「水面下でどういう交渉が行われたのかは知らないが、ウィザード・ブックスもスカラスティックも米ジャクソンにはノータッチだったのを、今回、彼が乗り気になったのは、GURPS以来のSNEとSJゲームズの関係性、安田社長と米ジャクソンのつながりも大きいんじゃないかと思う。もちろん、FF40周年という祭りと、それを盛り上げた旗手のリビングストンさんの働きかけもあってのことなのは間違いないだろうが、日英米がちょうどゲームブック文化で協調するってのは、すごい波だなあ、と改めて感じる次第だ」
ダイアンナ「祭りはまだまだ続くってことだね」
アスト「関係者がみんな壮健に、精力的に活動を続けている限りはな。5年後に、FFコレクション10に達した未来を期待したいところだぜ」
リバT『実際のところ、50作のラインナップがどうなるか、それによって相互の展開にどんな影響を与え合うかはしっかり見守りたいと思います』
(当記事 完)