サソリ沼からの脱出
リバT『前回、魔法剣士のダルタニアさんは、邪悪な〈蜘蛛のあるじ〉を倒して、ミッション目的の3つの護符を集めることに成功しました』
ダルタニア(ダイアンナ)「そのうちの一つは、〈鳥の女あるじ〉様が作った精巧なイミテーションだけどね。邪悪な魔術師グリムズレイドに雇われたあたしは、彼女に諭されて、この地の邪悪を退治することが元の世界に戻る道だと考え直すに至った。だから、これから3つの護符を手土産にグリムズレイドの塔に戻り、彼の裏切りを見極めてから返り討ちにする計略を考えた。なあに、IFルートによって、奴の攻略方法は先刻、予習済みだからな」
リバT『その前に、サソリ沼から無事に帰還しなければいけません。〈蜘蛛のあるじ〉を倒したあなたは、パラグラフ105番、空き地12に到着します。空き地には平らな石がいくつかあって、巨大なうろ(空洞)のある木が一本そびえています。石に腰かけて休んでもいいし、うろを調べてもいい。また、すぐに空き地を出てもいいですよ』
ダルタニア「疲れたので、石に腰かけてみると?」
リバT『体力点が1点回復しますね(17→18)。同時に、うろの中から何かの息づかいが聞こえて来ます』
ダルタニア「気になるので調べておこう」
リバT『中からクマ(技7、体8)が出て来ました。戦ってもいいし、逃げてもいいです。なお、クマを倒しても、何も入手できない未来を指輪が見せました』
ダルタニア「だったら戦う理由がないな。無駄な殺生は避けて、空き地を出よう」
リバT『クマはあなたを追いかけては来ません。あなたは北と東、西の3方向に進むことができます』
ダルタニア「北から来たんだ。地図によると、サソリ沼の入り口は西にある。東に何があるかは、後から冒険する者に任せた。あたしはとっとと沼から出るよ」
リバT『西に向かうと、そこは空き地1番です。水たまりを慎重に進むか、飛び越えるかを選べますよ』
ダルタニア「前者は運だめし、後者は体力判定だったね。体力に余裕があるので、ジャンプして飛び越える。(コロコロ)3が出たので、余裕で体力18点以下だ。華麗なジャンプで水たまりを越えて、そのまま南のフェンマージへと駆け戻る」
リバT『おめでとうございます。あなたは無事にサソリ沼から帰還を果たしました』
ダルタニア「とりあえず、西から時計回りに1周した形だね。北や東の?部分の探索は、アストやカニコングに任せよう」
(14)鳥の女あるじ ? ? ?
l l l l
(23)恐怖の花ー(29)ユニコーンー(5)戦闘跡ー(24)蟹草ー?
l l
(6)鉤爪獣ー(18)剣の木 l
l (17)蜘蛛のあるじ
(34)川 l
l l
(4)狼のあるじー(1)水たまりー(12)クマのうろー?
l
沼の入り口
l
フェンマージ
改めてグリムズレイドとの対決
リバT『それでは、3つの護符を持ち帰ったダルタニアさん。そのまま雇い主のグリムズレイドのところに向かいます』
ダルタニア「IFルートと違って、今回はきちんと仕事を果たして来たぞ。まあ、一つは精巧な偽物なんだけどね。相手に気づかれるかな?」
リバT『あなたが3つの護符を集めて来たと知って、グリムズレイドは大喜びです。「素晴らしい! お前ならば失敗せぬと思っていた。さあ、護符をすぐに渡せ」と、尊大に言い放ちます』
ダルタニア「手渡すと?」
リバT『グリムズレイドは金貨袋をあなたに放り渡し、こう言い放ちます。「これで取り引きは終了だ。もう、お前には用がない。わしはしばらく研究で忙しい。お前の相手をしている時間も惜しい。立ち去れ。2度とわずらわせるな」』
ダルタニア「ちょっと待ちなよ。あんたはあたしのためにアランツァへ行く転移門の研究をするって約束したろう。研究の進捗をあたしに伝えてくれるんじゃないのか。盟友と言ったのを忘れたのかい?」
グリムズレイド(リバT)『もちろん、取り引きが成立している間は盟友だった。しかし、人の情などはかないもの。わしはそなたに仕事を依頼し、そなたは見事に果たして、わしは報酬を支払った。ならば、お互いを縛ることはなしにしよう。そなたの故郷、アランシアに通じる門を構築するなぞ、一体、何年を費やすか知れたものじゃない。ならば、そなたは東のアリオン市に向かい、そこから船でアランシア大陸へ旅立つといい。わしの与えた報酬が旅費として十分なものかは知らんが、アランシアへの交易路は確立されておる。お前さんは故郷へ帰りたい。わしは誰にも煩わされず、研究を続けたい。これ以上、互いへの干渉はなしにしよう』
ダルタニア「……言っていることは理にかなっているんだよね。あたしがアランシアの人間だったら、彼の言うことも納得するんだけど、アランシアとアランツァって名前は似ていても、別の世界だよね」
リバT『グリムズレイドさんは勘違いしていますけどね。そして、指輪があなたに警告します。金貨袋の中を確かめろって』
ダルタニア「え? 報酬が足りてないってこと?」
リバT『グリムズレイドの約束は、護符1つにつき金貨500枚でした。しかし、どう考えても、金貨1500枚の報酬が金貨袋に収まるはずがないじゃないですか?』
ダルタニア「確かに。でも、そういう高額な報酬の場合は、金貨の代わりに宝石で支払ったりするのがファンタジー世界のお約束じゃない?」
リバT『中を確かめると、宝石じゃない普通の金貨です。袋に収まる額面はせいぜい金貨150枚になるかならないかってところですね』
ダルタニア「約束の10分の1しか払っていないのに、取り引き終了って詐欺じゃないか。セコいぞ、グリムズレイド。3分の2の金貨1000枚なら、こっちも護符の一つが偽物だから、大目に見てやるところだけど、こうなったら呪い殺してやる!」
リバT『では、反動による1Dのダメージを受けて下さい』
ダルタニア「2点だけで済んだ。さあ、グリムズレイド、あなたみたいな見下げ果てた詐欺師の小悪党は、〈鳥の女あるじ〉と運命神ロガーンの名にかけて、死ぬがいい。今だけ邪悪な魔女の形相になって、雪の魔女らしい死の呪いを浴びせよう」
グリムズレイド『何だ、この魔力は!? 悪魔と契約強化して強くなった我が抵抗を打ち破るだと? 貴様は一体!?』
リバT『グリムズレイドはこうして、自分に理解できない力に驚愕して息絶えました』
ダルタニア「結局、彼のような小物魔術師では、あたしをアランツァへ返すことはできそうになかったんだね。塔を後にして、崩壊するに任せるよ」
リバT『すると、あなたのところにグロナールさんが近づいて来ます。「どうやら邪悪な魔術師を退治してくれたようですね」』
ダルタニア「ああ、あんたか。事の顛末を報告したらいいのかい?」
グロナール『いいえ。それよりも、指輪を返していただきますよ。あなたはヒーローらしく、運命神の期待する物語を紡いでくれた。この世界でのあなたの役割は終わりです。次の世界での冒険も期待していますよ』
ダルタニア「ちょっ!? グロナールさんって何者? ただの取材記者じゃなかったの?」
リバT『グロナール(Glonar)とロガーン(Logarn)がアナグラムでつながってたら面白いなあ、と思いまして』
ダルタニア「つまり、グロナールってロガーン様の化身だったわけ?」
リバT『作者の米ジャクソンは、そんなことを考えていないでしょうけどね。ただ、グロナールが何やら神秘的な裏の顔を持っていることは、ゲームブック本編でも描写されていますので、何かの神格のエージェント(代理人)、もしくはアバター(化身)であると推察されます』
ダルタニア「つまり、今回の物語は、ロガーンの手の平で異世界冒険者のあたしたちが巻き込まれたって話だったんだね」
リバT『そして、指輪に保存された冒険の記録をグロナールことロガーン様が異世界勇者の冒険譚として伝え残すという「サソリ沼秘話」って感じですね。なお、指輪を外されると同時にダルタニアさんは意識を失い、気付くと新たな世界へって話です。今回の冒険は夢みたいな出来事と認識してもかまいませんし、しっかり記憶に留めていてもいいでしょう。辻褄は後で合わせますので』
ダルタニア→ダイアンナ「分かった。しかし、グロナールとロガーンがアナグラムになってるって、よく気付いたものだね」
リバT『あっ、それはここだけの捏造ですので、信じないように。じっさいの英単語はGronarとLogaanでしたので、一文字だけアナグラムになるように変えました』
ダルタニア「捏造なんかい!? 感心して損した気分だよ」
(未完)