裏切り者の冒険者抹殺計画と、最後の希望
リモートNOVA『前回、リーサンはカラメールの街に巣食う裏切り者の貴族と、その協力者を告発して、獅子心中の虫を排除することに成功した』
アスト「不遇の死を遂げた領主レディ・キャロリーナと、筆頭騎士にして次の領主になる予定だったラメデスの仇を討ったわけだな」
ダイアンナ「キャロリーナの死因がよく分からないね。呪殺か、毒を盛られたか」
NOVA『その辺の調査は、アルブドールが裏切り者の遺品を調べることで遠からず解明されるだろう。それから、街に集められた冒険者は、リーサンを除いて、みんな不可解な死を遂げていることが判明した。ソフィアやラメデスも含めて、ルーサー以外の腕の立つ者は、黒幕の計画に逆らわないように、上手く集めて暗殺されたものと思われる。その証拠品として、裏切り者の部屋に冒険者の名前リスト(ルーサーを除く)があって、殺されたり、行方不明になった者に、抹消線が施されていた。殺された者はともかく、行方不明の者にそういう線を引くのは、殺害を企てた者ならではの視点だろう』
アスト「確かにな。確実に死んでいるけど、死体が見つからなかったり、原型を留めていないケースは行方不明扱いだが、殺害者にとっては処分済みということになる、と」
NOVA『そんなわけで、もはやカラメールの最後の希望は、リーサン・パンザただ一人という状況だったりする。そして、リーサンはダンヤザードに対して、こう言った。「奈落から来たと思しき侵略軍に対して、対処できると思われる魔法使いを探しに行きます。敵の首魁を叩けば事が収まることは、かつて北の地で〈闇の王〉の軍と対峙した際に経験済みです。しかし、仮に任務に失敗して、〈奈落の帝王〉と称される敵の配下が街に迫りつつあったなら、街の住人を連れて避難して下さい。通常の軍で太刀打ちできる敵ではないでしょうから」』
ダンヤザード『元より、私一人でも逃げるつもりだったのだけどね。街に未来はないのだから』
リーサン『いいえ。街の未来は、住人たちと共にあるのですよ。この住人たちをあなたの資産と思えば、守る気にはなりませんか?』
ダンヤザード『上手いことを言うのね。それで、あなたに勝算はあるのかしら? 一人で逃げないという保証は?』
リーサン『この剣に賭けて、俺は英雄であることを求められているようです。今回は、運命神ロガーンが俺の味方だってのが、勝算であり、保証と言えるでしょう。それで不満なら、幸運の神シンドラ、この地ではキャスティス神に願って下さい。魔界の侵略者相手なら、神への祈りは多い方がいい』
NOVA『こうして、リーサンは東へ旅立ったということで』
ダイアンナ「これで事件が解決したら、確実に英雄として名を残せそうだね」
NOVA『ただ、ゲームブック通りのストーリーだと、これがリーサンの最後の旅立ちになるわけだがな。国を救った最後の英雄は、2度と人々の前に姿を見せることはなかったって感じで。とにかく、パラグラフ183番。リーサンは魔法使いエンシメシスを探しに、変幻の森に向かう』
変幻の森
NOVA『ところで、今さらながら、本作の特別ルールを忘れていたわ』
アスト「時間点の他に何かあったのか」
NOVA『主人公の持ってるファングセイン鋼の名剣なんだが、攻撃時の出目が6ゾロだと、相手を一撃必殺で倒せるんだわ。これで運が良ければ、戦闘時間を短縮できるなあ、と。まあ、技術点12もあれば、これまでずっとノーダメージで倒せて来たけど』
ダイアンナ「本作の敵は、数字データ的にはそれほど強くないみたいだね。たまに、イヤらしい特殊能力を持っていたりするけど」
NOVA『一撃必殺の効果が発動したら、記事で触れるようにするわ。ともあれ、変幻の森に向かうには、山道を北に進むことになるんだが、標識のある街道ではないので、馬と自分の方が本能だけが頼りだ』
アスト「頼りにされても、変幻の森がどこにあるかなんて、馬でも分からないよ」
NOVA『運命神の導きに頼るか? いきなり、運だめしを要求されたので、振ってみる。(コロコロ)5で難なく成功。残り運点11だ。失敗すれば、砂嵐のせいで2点ダメージと、時間点1点加算されるところだったけど、運よく落馬せずに済んだようだ。砂嵐がやむと、突如、目の前に森が広がっていた』
アスト「よく分からんが、本能で連れて来てやったぜ。馬の不思議パワーに感謝するように」
NOVA『不思議なのは森であって、馬じゃないと思うんだが、まあいい。森の中には、馬で進めないみたいだから、ここで待機な』
アスト「やむを得ん。今からオレは馬から、ファングセイン鋼の名剣になる」
ダイアンナ「また、剣の精霊かよ」
アスト「ああ。剣役のロールプレイヤーとして、一世風靡しようと思ってな。マンゴ→アス・ラルに続き、次はファインと名乗ろう」
NOVA『では、ファインに聞こう。森の道が左と右に分かれているんだが、どっちに向かうべきか』
アスト「そんなの剣に聞くな。ヒントは出てるだろう。『やぶに咲く手袋』を探せよ」
NOVA『なるほど。キツネノテブクロという花が左を向いているようなので、左へ向かうことにした。右は2という数字をメモして、左は3という数字をメモするらしいが、ここはちょっとしたパズルなんだな』
ダイアンナ「確か、間違えた道を進むと、永遠にさまよい続けるんだったよね」
NOVA『ああ。無限ループの罠でなかなかイヤらしい。ともかく、左へ行くと、アリに寄生された人間が助けを求めて来るが、本作は虫がいろいろ危険っぽいのでスルーさせてもらう。実際、アリがどんどんタカって来て、無駄にダメージを受けるだけのイベントだからパス。次にまた右か左かだが、キツネノテブクロは左手にあるので、左に進んで2をメモする。ここまで32の順でメモしたが、発生するイベントはオーガー(技10、体12)とゴブリン(技5、体4)とのバトルだ。ゴブリンはもっといっぱいいたんだが、コミカルに自滅していくので、ここはユーモラスなシーンらしい』
アスト「今まで、散々陰鬱な展開だったもんな。少しぐらいは息抜きってところか」
NOVA『それでも、オーガーが手強くて、ダメージを6点も受けてしまった。残り体力9になったので、食事を1食とることにした(体力点13、残り食料4)。登場モンスターの種類的にも、体力点と食事の処理的にも、ようやくいつものファイティング・ファンタジーって感じがしてる』
ダイアンナ「今までは、違うゲームをしてたのか?」
NOVA『やっぱり、ゴブリンとか、オークとか、トロールとか、オーガーとか、そういう連中と遭遇すると、いかにもって感じなんだよ。虫の暗殺者とか、異形モンスターだと違う世界に拉致された感があってな』
アスト「まあ、お馴染みのゴブリンとかが出ない『地獄の館』とか『サイボーグを倒せ』とか宇宙SFものは、違う雰囲気だもんな」
NOVA『まあ、『地獄の館』はゾンビとかスケルトンがまだ馴染みのある方だと思う。ともあれ、次に1をメモして、トロールと遭遇するイベントなんだが、トロールは何だか川の中にいるので、うかつに飛びかかると、川の中に飛び込んでしまう。この川はどういうわけか、奈落に通じているので、いきなり異空間に引きずり込まれてしまうから、様子見したまま何もしないのが正解。そして、次にメモに記された321番に進むと、森の奥に進める』
ダイアンナ「順番を間違えると、123、132、213、231、312の5パターンのループがあるわけだね」
NOVA『正解は321→12か21(体力1点減)→366(運+1、時間+1)と進むことで、森を脱出できる。
(未完)