祝・『王子の対決』解析記事終了
1月から『王女の対決』と題した2人プレイ攻略記事を書き始め、その後で攻略の際に通過しなかったルート解析を続けて行き、ようやく昨日、完全解析に漕ぎ着けました。
途中、季節の変わり目の体調不良にも見舞われたりしながら、記事書きスピードも落ちたなあ、と思いつつ、何とか頑張って完結させたぞ、と。
例によって、EX記事では、バッドエンドや難易度どうこうの話をしたり、FFシリーズにおける魔法使いの懐古記事を絡めたりしていますので、そういう蘊蓄に興味があれば、是非ご一読を、と。
まあ、シリーズの中では、ソーサリー同様に作品ナンバーに含まれない番外編作品であり、復刻の機会もなかったマイナー作品と考えますが、唯一無二の2冊セットで実験的な2人用ゲームブックという作品。
つまり、これを解析したということは、ゲームブック2冊分を手間暇かけて記事書きしたことになるわけで、よく頑張ったなあ、自分、と感慨に耽っているのが今だったりします。
ともあれ、これで若い日から終わらせずに積んでいたFFゲームブックを全てクリアしたぞ、という達成感もあるわけですが……次は『狼男の雄叫び』『嵐のクリスタル』『火吹山の魔法使いの伝説』という初邦訳作品が3つも待ち構えて、うひゃー、と嬉しい悲鳴を上げているのも今ですね。
FFコレクション4のソーサリーも含めて、コレクションの追っかけ求道だけでも、ネタが尽きないことを喜ばしく思いつつ、いろいろ目移りしたりもしながら、我がゲームブック道を進むのみ、と青春プレイバックやら、新たなムーブメントにも期待やらで、冒険者魂を胸にたぎらせて、この道わが旅を歩み続けられたらな、と考える次第。
まあ、『王子の対決』はここでの『サイボーグを倒せ』(21記事)に準じる程度は力をかけたぞ、と(全16記事)。
これで、次回から『サソリ沼の迷路』(ダイアンナの悪ルート編)に進むこともできる、と。
オオカミ男の話のつづき
一方、初邦訳新作の『狼男の雄叫び』はプレイしていないのに、読書感覚で読み進めていると、思いの外にルート分岐の歯応えがあったので、実プレイの前に先行して、攻略ノートにフローチャートやイベント内容を記録しながらの解析作業を始めてしまいました。
で、闇に覆われたモーリステシアの集落を渡り歩きながら、自分の呪いの元凶を倒すべく、そして他の闇の支配者と遭遇したり、退治したりするイベントをチェックしたりしているうちに、本作のキーアイテムが「5本の銀のダガー」であることを知る。
かつて闇の儀式に使われた銀のダガーを集めて回ると、ラスボス戦が楽になるようなので、銀のダガーを回収して回るルート選びが、最適攻略解の一つ。
ただ、5本とも全て回収しないと解けないか? と言われると、そうでもなくて、他の解法もあるみたいで、攻略自由度が高い作品と言える。
道中、感じ入ったイベントとしては、ヴァンパイア・ハンターのヴァン・リヒテン。
『王子の対決』では魔女ハンターのドラジェシマというキャラがいるわけですが、要するに退魔狩人的なNPCヒーローですな。こいつに、自分が狼男の呪いを受けていることがバレると敵対して戦闘になるわけですが、呪いがバレずに、自分も闇に抗う闘士であると主張するなら、友にもなれるという。
そして、ヴァン・リヒテンと共に、吸血鬼の女伯爵イザベラを退治しに、彼女の住む8階建ての塔を攻略する中ボスイベントがあるわけですが、別にこのイザベラは倒さなくてスルーしてもいい。彼女も〈銀のダガー〉の所有者なので、銀のダガーを5本全て集める攻略を考えるなら必須の敵なんですが、銀のダガーにこだわらなければ、スルーしても攻略は可能。
むしろ、極力、危険は冒さずに、最短でラスボスに挑んで倒せるルートもあると思うんですな。
重要イベントを一通り通過する物語をたっぷり味わう攻略ルート(その導線が銀のダガーである)もあれば、最低限の危険だけでラスボス退治一点に絞って最速攻略を目指すルートもあると思う。
で、これはバッドエンドなんですが、ヴァン・リヒテンなしにイザベラ女伯爵と対面した場合、吸血鬼の誘惑にさらされて、下手したらヴァンパイアの下僕になってしまう危険があったりします。
これまでのFFだと、それで即座にバッドエンドなのですが、本作は一味違って、ヴァンパイアの下僕になった後、イザベラ様はこうおっしゃるんです。
「うむ、お前は既に我がライバルの狼男の伯爵に呪われた身だな。ならば、わらわのために奴を倒して来るといい。うまく奴を倒した暁には、そなたをわらわの庇護下に置いて、寵愛を与えてやろう」
そんなわけで、吸血鬼の女伯爵に魅了された下僕として、ラスボス狼男のボス退治を目指すこともできる。
もちろん、そうなった場合、ラスボスを倒しても、自分が闇から解放されるわけではなく(その場合はグッドエンドだけど)、この地の支配者にイザベラ女伯爵が君臨し、自分は彼女に忠義を尽くす吸血狼男の騎士として、闇の支配の尖兵となる悪堕ちエンドで、それはそれでゾクゾクできるわけです。
これでイザベラ様の萌え美女イラストがあれば完璧なのですが、それがないので想像力にお任せしますって感じ。
なお、本作の萌え美女イラストとしては、パラグラフ226番の宿屋の娘メグが挙げられます。
彼女は黒魔術に傾倒した「魔女っ子メグちゃん」で、処刑された殺人鬼に惚れて、彼を復活させて自分の愛を注ごうとする非常に情熱的な娘。
最終的には、死んだ想い人に拉致されて、冥府に連れさらわれてしまうわけですが、上手く正解の選択肢を選ばなければ、不死身の冥府の騎士に「人の恋路を邪魔するな」とばかりに、主人公が馬に蹴られるような形のバッドエンドを迎える、と。
つまり、この地の闇の影響は非常に濃くて、一介の宿の娘でもその気になれば、黒魔術を習得できるぐらいの環境にある、と。
人々は闇に怯えたり、自ら望んで闇の支配を受け入れたり、その中で闇を退治するハンターが活動していたり、光と闇の境界線がいろいろと錯綜しているゴシックホラーの世界ですな。
そして、主人公もまた、光と闇の境界線上にいて、自分を律しないと、容易く闇の誘惑にさらされる作品だ、と。
でも、道中、闇の呪いで主人公が強化されたりもします。パラグラフ20番で、技術点が原点ごと+1されたり、体力点が原点ごと+2されて、初期状態の虚弱さが普段のFF主人公並みに改善されます。
これで虚弱なオオカミ男とは言わせないぜ。
と言うか、オオカミ男映画の定型パターンは、呪われる前の主人公はたいてい気弱で冴えない陰キャな若者やおじさんだったのが、呪いによって野生に目覚めて、アグレッシブにビーストチェンジするのでした。
映画の元祖『狼男』(1941)のローレンス・タルボットも、変身前は普通の若者だったもんな。
ある意味、デビルマンの不動明が悪魔の力を手に入れる前は、おとなしいウジウジ系だったのが、デビルマンになってワイルドな魅力を勝ち得たようなものか。
元々ワイルドなキャラが、呪いで一層ワイルドがマシマシになってもインパクトは薄いもんなあ。
で、狼男の能力が覚醒すると、さらに主人公はランダムに6種類の特殊能力を会得します。
- 野生の呼び声:咆哮を上げて、相手を萎縮させて、攻撃力を1点下げる。ただし、魔法生物や人造物、アンデッドなど心を持たない相手には無効。有効な特殊能力の一つ。
- 血染めの歯と爪:武器がなくても普通に戦える。武器の使えない状況が稀なので、有効度は高くないと思われ。
- 敏捷化:技術点がさらに+1される。非常に有効。
- 尋常ならざる活力:回復能力や打たれ強さが高まる。戦闘で失った体力点が、戦闘後に半分まで回復する。さらに戦闘以外で発生するダメージを1点減らせる。これも結構、有効度が大きい。
- 夜の生き物:暗視能力がつくので、ランタンを必要としない。ランタンは初期装備で持っているので、それを失わない限りは、有効度は低い。
- 呪われた血脈:体力点を4点失い、変化点が+1される。メリットがほぼないハズレクジである。
こういうランダム取得する特殊能力が、ゲームとしては楽しそうです。
まあ、ハズレは引きたくないので、サイコロ2個を振って、好きな方の出目を採用するようにアレンジする方が楽しめると自分は思います。それでも、6ゾロを振ってしまうと、どうしようもないのですが。
ともあれ、今は旅先のいろいろなルートをちまちま解析しながら、東の街ヴァーゲンホーフに向かって旅を進めている最中ってことで(道中のルート分岐が結構細かくて、フローチャート作りに多少は難儀しつつも『王子の対決』ほどではない)。
実プレイの前に解析をし終えてから、改めてサイコロを振るプレイをいずれ行う予定。
何にせよ、新作ゲームなので、まだ全てのネタバレをするのは時期尚早という気もしますので、断片的に面白いと思った点だけ、ミニ感想の形で紹介してみた形。
(当記事 完)