いよいよプレイ開始
ダイアンナ「作者のダディが『王子の対決』と『狼男の雄叫び』の解析を優先したせいで後回しになったが、これよりサソリ沼の冒険を開始する」
リバT『それでは、アレンジした背景を語ります。あなたはアランツァ世界の冒険者ダルタニアです。仲間のアートスや従者のターコイズたちと旅していた際に、突然、次元嵐が発生して、気づくと一人で見知らぬ世界にいました』
ダイアンナ→ダルタニア「ここはどこだ?」
リバT『すぐにあなたは気づきます。得意な魔法が使えなくなっていることに』
ダルタニア「何てことだ。魔法剣士が魔法を使えないなんて、片腕を失ったにも等しい事態ではないか」
リバT『そう思いながら、あなたは剣だけを頼りに街道を歩いていると、倒れている老婆を見つけました』
ダルタニア「それは見捨てておけないので、何とか介抱してやろう。おい、婆さん、しっかりしろ。水が飲めるか?」
リバT『ゴクゴク。皮袋の水を飲むと少し元気が出たようで、「親切な旅人よ。近くの街まで送ってもらえれば、お礼にこの指輪を授けましょう」と言ってくれました』
ダルタニア「指輪? 宝石は付いている?」
リバT『いいえ。金銭的価値は薄そうな真鍮の指輪ですね。ただ、魔法使いの目から見て、何らかの魔法が込められているような感じがうっすらとします』
ダルタニア「この老婆が実は力ある魔女かもしれない、と話しながら探りを入れよう」
リバT『道中の会話から、あなたがどこか遠くの国から来ていることを察した老婆は、「その指輪は、旅先で道に迷わないお守りです。そして、相手が自分に悪意を抱いているかどうかも示してくれる。お嬢ちゃんのような冒険者なら、きっと役に立つでしょう」と説明してくれました』
ダルタニア「そんな貴重な品物をどうしてあたしみたいな見ず知らずの者に?」
リバT『「運命神ロガーンの導きです」と老婆はにっこり微笑んだ。「お嬢ちゃんはロガーン様のお眼鏡にかなったようですね」といたずらっぽい笑みを見せます』
ダルタニア「ロガーン様か。何だか魂の奥で共鳴するような名前だけど、ダルタニアはその名前を知らないよね」
リバT『異世界の神の名前は知りませんが、ふと「謎かけ盗賊の娘」とか「魔女に魅入られし娘」のイメージが脳裏によぎります。この世界のあなたの魂の分身の記憶が薄ぼんやりと……』
ダルタニア「魔法的な眩惑感に包まれながら、自分がどんな運命に巻き込まれたんだろう、と不思議に思いつつ。それでも老婆を街まで送り、指輪の魔力をあれこれ試しながら冒険の日々を過ごすとするか」
リバT『そうしているうちに、あなたはサソリ沼の噂を耳にします。そこは霧に包まれた未到の地で、方位を確かめるのも困難なため、多くの冒険者が道に迷って帰って来れなくなったらしいとか、多くの魔法や怪物に遭遇するとか、この世界とは別の世界に通じているらしいとか、どこまで信じていいのやらって話ですが、不思議とあなたの心はそこに引きつけられます』
ダルタニア「何だかよく分からないけど……分かったような気がする。運命はあたしに、サソリ沼へ行けって導いているみたいだね」
リバT『そう確信したダルタニアさんは、西へ向かって旅して、サソリ沼近くのフェンマージの町にたどり着いたところで、パラグラフ1番です』
フェンマージの酒場
ダルタニア「フェンマージの町の酒場で、サソリ沼の情報を集められるかな?」
リバT『酒場の客は、無謀なことを言う見知らぬ女剣士に唖然としながら、口々にやめておいた方がいい、と言います。たまに来る命知らずの冒険家が誰一人帰って来ないこと。モンスターがいるばかりか、最近は「あるじ」と自称する魔法使いが勢力争いをしているらしくて、自分たちの領域に入った者を排除したり、たまに親切に迷い込んだ者を出口まで誘導してくれて、2度と沼に入るな、と脅したりしているとか、そんな話をしてくれます』
ダルタニア「あるじ……だと? 会った者はここにいるのか?」
リバT『すると、酒場の主人がこう言います。そう称する男が先週、店にやって来た。2匹の灰色狼を従えた巨漢で、寡黙に酒だけ飲んで帰って行ったそうです』
ダルタニア「狼を従えた巨漢か。もしかすると、狼に変身するのかもしれないな。狼男の話は、最近聞いた気がする」
リバT『あっちは〈旧世界〉で、こっちはクールですから、大陸が違うんですけどね』
ダルタニア「とにかく、サソリ沼には魔法使いがいるんだな。魔法には興味があるので、ぜひ訪れたい。人跡未踏と聞いていたが、魔法使いがいるのなら、いろいろと手掛かりにもなりそうだ」
リバT『命知らずがまた一人か。酒場の地元民たちは、やれやれとため息をつきます。中には、力づくで止めようとするお節介な者もいますが、最初の選択肢は「お節介者に剣を突きつける」か、「言葉で説得する」かですね』
ダルタニア「さすがに、連中はならず者じゃないんだろう? 話せば分かると思うから、わざわざ自分から荒事を持ち込むつもりはない」
リバT『すると、地元民の1人、グロナールという男が、「そんなにサソリ沼に行きたいのなら、ただの冒険心や好奇心以上の理由がおありなんでしょうね?」と尋ねてくる』
ダルタニア「理由か。異世界の話をしても仕方ないので、運命神ロガーンに誘われた……とでも答えておくかな」
リバT『神の啓示ですか……とグロナールは肩をすくめる。酒場の連中は、よりによってロガーンかよ、と呟く者もいますね』
ダルタニア「ロガーンに何か問題が?」
リバT『ロガーンは人の創造神ですが、トリックスターの神で、世界に混沌をもたらすとも思われて、ギャンブラーや裏稼業に所属する者、あるいは反権力の輩が主に信仰するんですね。よって、表向きにその名を出すと、何やらいかがわしい目で見られます』
ダルタニア「そうなのか。まあ、別にあたしはロガーンの信徒ってわけではないんだが、冒険中の幸運を願う程度で……」
リバT『「あなたは誠実な方のようだが、この辺りでは少々世間知らずでもあるようだ」とグロナールは訳知り顔で言います。「それでも、無謀にサソリ沼に入る前に、多少は情報を集めようとしてらっしゃる。ならば、このわたしが知恵をお貸ししましょう」と言ってくれますね』
ダルタニア「どんな知恵だ? と尋ねながら、魔法の指輪にこっそり問いかけよう。この男に悪意は感じられないか?」
リバT『指輪は反応しません。ただ、グロナールさんは「情報料として、エールの一杯でもおごっていただければ」と言いますね』
ダルタニア「ええと、あたしはいくら持っているんだろう?」
リバT『初期の所持金は特に書いていないのですが、エール代ぐらいは難なく払える分は持っているということで』
ダルタニア「ならば、グロナールにおごりながら、あたしも安酒を飲んで、彼の話に耳を傾けよう」
リバT『なお、グロナールの話を聞かずに、1人でサソリ沼に何の準備もなしに向かうと、運だめしをさせられて、失敗したらバッドエンドになります。成功すれば町に帰還できて、やはりグロナールの話を聞いた方がいい、という結論になりますね』
ダルタニア「で、グロナールはどんなアドバイスをしてくれるんだ?」
リバT『サソリ沼に関心を示す3人の男の話ですね。1人は善の神に仕える老魔法使いのセレイター。2人めはグリムズレイドといって、どうも邪悪の臭いがプンプンする野心家の魔術師。3人めはやはり胡散くさいプームチャッカーですが、いずれもサソリ沼に用があるようで、大胆な冒険家を求めているようですね』
ダルタニア「それで、グロナールさんは誰を推すんだ?」
リバT『常識的にはセレイターさんでしょう、と答えます。後の2人は胡散くさすぎる』
ダルタニア「しかし、この町の住人に迷惑をかけているのではないだろう? グリムズレイドとやらが、町を呪っているとか、モンスターを召喚して周辺の住人を脅かしているような事件は起こしているのか?」
リバT『それはないですね、今のところは』
ダルタニア「何もしていないのに、胡散くさいとか言われるのは心外だと思うが?」
リバT『何をしているか分からないのに、何やら不思議な力を持っているらしいと思われているから、胡散くさいわけですよ。その点、セレイターさんは違う。薬草学の大家で、病気の人を癒している。普段は庭いじりをしている好々爺って感じなので、人当たりもいい。この辺りで、彼を悪人という言う者はいないでしょうね』
ダルタニア「なるほど。グリムズレイドは?」
リバT『沼の近くの塔に1人で住んでいるのですが、その拠点からして陰鬱な気配が漂っています。墓場の臭いと言いましょうか。とにかく、雰囲気からして暗く、ゾッとする。行ってみれば分かりますよ』
ダルタニア「プームチャッカーは?」
リバT『外見は太った大男です。尊大な雰囲気で、人を値踏みするような目で見るので、見下されているような気にさせられる。訪ねて行くと、本を読むのが習慣らしく、大きな館の図書室で面談したことがあります。しかし、学者という雰囲気ではなくて、町の民ともあまり関らず、外からの旅人や行商人とばかり話をしている雰囲気です。町に溶け込もうとはしていない人物か、と』
ダルタニア「そう言うグロナールさんは、ずいぶん詳しいみたいじゃないか」
リバT『グロナールさんは、フェンマージの新聞記者みたいな仕事をしていて、町の事件のニュースや酒場の噂話を集めては、商売のタネにしているようですね。だから、他所者に取材したり、名士や有名人とも接触しようとするわけです』
ダルタニア「だから、あたしにもこうして絡んでくるわけか。納得したよ」
リバT『とにかく、グロナールさんは3人から、サソリ沼に行きたがる勇者を紹介して欲しい、とそれとなく頼まれたようですね。上手く話が進めば、その経緯を記事のネタにできるかもしれない、と』
ダルタニア「だったら、グリムズレイドのところに行くか」
リバT『よりによって……という目で、グロナールさんはあなたを見ます』
ダルタニア「もしも、ただの陰キャの引きこもりなら、誤解されたままというのも可哀想な気がするし、もしも本当に邪悪な魔術師なら、それを退治するのもまた一興。しかし、仮に召喚魔術の使い手なら、個人的に用があってね」
グロナール(リバT)『魔術のことはよく分かりませんが、どうやら邪悪退治には手慣れてらっしゃるようだ。もしも、グリムズレイドがあなたの目から見ても邪悪な魔術師で、町に災いをもたらすのであれば、強い剣士に退治してもらう方がいいのかもしれません。その場合、あなたの身の証は、このわたしが証言してあげましょう。もちろん、彼の悪事の証拠は必要になるでしょうが』
ダルタニア「このグロナールという男には、裏稼業とか密偵めいた臭いを感じはするが、あたしを陥れようとしているわけではないんだね」
リバT『明確な悪意はなさそうですね。冒険者の勘からも、喋りながら色々と品定めされているような気にはなりますが、あなたを見下す印象はありません』
ダルタニア「では、グリムズレイドという男が、サソリ沼に何を求めているのか確かめる目的で会ってみるか」
リバT『物好きな娘さんだと思うが、そうでなければ、サソリ沼なんて危険な場所に行きたいなんて言うはずもないのかもしれませんね。面白い冒険譚ならば、後で是非とも聞かせていただきたいものです。どうかご無事で……とグロナールさんはあなたを見送ります。一応、グリムズレイドの塔までの簡単な地図を渡したうえで』
ダルタニア「いい土産話を期待していてくれ、と歴戦の冒険家らしい振る舞いを示すぞ」
グリムズレイドの塔
リバT『地図を参考に、グリムズレイドの塔に行き着きました。塔に近づくと、指輪が熱を帯びて、あなたに邪悪な危険を知らせます』
ダルタニア「こいつは正真正銘の邪悪みたいだねえ。自分の世界で戦った混沌魔術師セグラスに匹敵するような」
リバT『今なら引き返して、セレイターやプームチャッカーを選び直すこともできますが?』
ダルタニア「今回は邪悪ルートで攻略するって決めたんだから、ここで引き返すと興醒めだろう?」
リバT『では、ダルタニアさんは恐怖を抑えて、塔の入り口に近づきます』
ダルタニア「いや、混沌迷宮に比べれば、これぐらいの恐怖など物の数ではない」
リバT『塔の上の方では蝙蝠の羽音が聞こえてきます』
ダルタニア「グリムズレイドは吸血鬼なのか? 何だか親近感を覚えるぞ」
リバT『それはプレイヤー発言ですね。ダルタニアさんは吸血鬼ではなかったはず』
ダルタニア「雪の魔女のエッセンスが紛れ込んでいるんだよ。とにかく、入り口から中に入るが」
リバT『「よく来たな」と階上から高慢そうな声がします。1階のエントランスから左右に上がる階段があって、その上に立つ黒ローブの人影があなたを見下していますね。背が高く、骸骨のように痩せさらばえた体は、アンデッド(亡者)のようにも見えます』
ダルタニア「グリムズレイド殿……で間違いないか?」
リバT『「そうだ。お前はグロナールの寄越した冒険家か? サソリ沼を探索したいのか、それともわしを倒しに来たのか?」 グリムズレイドは何もかも察しているかのように、傲然と振る舞います』
ダルタニア「さて、どこまで語るとするか。とりあえず、異世界に通じる門に興味がある。あんたは、そういう魔法を知っているか? と尋ねよう」
リバT『「異世界だと? ただの剣士……とは違うようだな。詳しく話せ」とグリムズレイドは命じます』
ダルタニア「あんたも魔法使いなら、知識には代価が伴うことは知っているだろう。あたしは魔法剣士ダルタニア。アランツァから来た」
グリムズレイド(リバT)『アランツァ? アランシアのことか。海の向こうの大陸から転移門か何かで来たと言うのか。なかなか面白い経歴だな』
ダルタニア「こっちでは、アランシアって言うんだね。とにかく、あたしは自分の故郷に帰りたいんだが、そのためには転移門の秘密を知らないといけないようだ。サソリ沼の〈あるじ〉なら、手掛かりになるかもしれないが、もしもあんたが召喚魔法に詳しいなら、あたしの助けになってくれるかもしれない。あんたは、あたしの役に立つ魔術師なのかい?」
グリムズレイド『……生意気な小娘め。召喚魔術なら、相応の知識はある。しかし、お前の方はどうなのだ? いかなる魔術が使える? あるいは剣の腕でもいい。サソリ沼を探索できるほどの強さは持っているのか?』
ダルタニア「試してみるかい? そう言って、スッと剣を抜く」
グリムズレイド『我が求める大胆さは持ち合わせているようだな。ならば、我がしもべと戦い、お前の腕前を示すがいい』
リバT『グリムズレイドはそう言うと、指先を階下の石像に向けて、何やら呪文を唱えます。すると、石像が動き出して、あなたに向かって来ます』
ダルタニア「剣で斬りかかる」
リバT『そうしようと思って、ふとあなたは気づきます。石の体に対して、刃の武器は効果が薄い、と』
ダルタニア「他の武器は持っていないんだけど?」
リバT『しかし、すぐにあなたは機転を利かせます。階下にあるテーブルに目を付けて、その足に剣を一閃。間に合わせの棍棒を作って、それで石のゴーレムに立ち向かうことにしました。ゴーレムは技術点7、体力点6ですね』
ダルタニア「あたしは何もしていないのに、体が勝手に動いた気分だが、これも異世界転移の影響かね。とにかく、棍棒でザコゴーレムを殴り倒す」
ダルタニアの技術点は12。5差もある相手なので、普通は無傷で圧勝できる。
それでも一撃を受けてしまうダイス運(石像が10を出してしまい、それに対してピンゾロという)で、残り体力は18点。
ダルタニア「クッ、慣れない棍棒なんて使ったから、余計なダメージを受けてしまったが、あんたのしもべは始末したよ。これで試験は合格かい?」
リバT『グリムズレイドは、テーブルを台無しにしたダルタニアさんに一瞬、顔をしかめますが、すぐに気を取り直して、その機転を称賛します。「傷ついたようだな。これを飲むがいい」と飲み薬を提供してくれますね』
ダルタニア「飲んでも大丈夫なのかな」
リバT『指輪は反応しません。少なくとも、この瞬間はグリムズレイドはあなたに悪意を抱いていません。むしろ、あなたの技量に、掘り出し物の戦士を見つけたというような喜びすら見せていますね』
ダルタニア「危険がないなら、彼のくれた飲み薬をゆっくり飲む。もしも毒なら、すぐに吐き出すつもりで」
しかし、グリムズレイドの薬はダルタニアの体力点を完全回復してくれた。
グリムズレイド『大胆ながら、機転も利いて、しかも時として慎重さを見せる。そなたは優秀な戦士のようだ。良き盟友となれるであろう』
なお、この石像戦を無傷で切り抜けたら、グリムズレイドは大いに主人公を称賛し、戦闘中の技術点を1加算できる名剣をくれます。それがここでの最適解でしょうが、まあ、技術点12で十分に強いので、贅沢は言うまい。
一方、もしも6点以上のダメージを受けたなら、グリムズレイドは弱い戦士を見下すことになり、試験に不合格。それでも食い下がろうとすると、バッドエンドやら、グリムズレイドとのバトル(技9、体10)になって、たとえ勝ったとしても、このルートでの攻略は失敗に終わり、セレイターやプームチャッカーのルートを選び直すことになります。
この邪悪な魔法使いは、3人のパトロンの中で最も機嫌の良し悪しが大きく、下手に振る舞うと、魔法で蜘蛛に変えられたり、召喚された悪魔に殺されたり、いろいろなバッドエンドが用意されています。
中でも交渉の最中に、魔法の指輪のことを喋ってしまうと、指輪が欲しくなったグリムズレイドは技術点16、体力点12のデーモンを召喚して、主人公に襲い掛からせます。このデーモンが本作での最強モンスターと言えるでしょう。
ともあれ、グリムズレイドとの交渉が、3人のパトロンの中でも最も分岐が多く、最も難儀なわけですが、上手く試験に合格すると、主人公に友のような笑顔を向け、ニコニコと好意的な態度をとってくれるわけですね、当座は。
主人公に、滅多に見せない敬意を示し、まるでツンデレおじさんみたいな態度の変わりようが面白い。
悪の魔術師は、友達が少ない分、一度、腹を割って話せる盟友ができると、非常に喜ばしいみたいです。ただし、自分に釣り合う有能な相手しか、友と見なさないようですが。
グリムズレイドの依頼
(未完)